競技玩具研究所


WGPバクシードレポート

 2004年11月13日。バンダイの問題作がついに発売されました。
 えぇ、もうミニ四駆のパクリですよ。大きさも、4輪駆動の方式も、ローラー使ってフェンスコースを曲がるのも。ホビー事業部さんもそのくらい言われるの覚悟してないわけじゃないはず。でもこれが他メーカーが作るただのパチモンでないのは、今までに無いインターネットを活用した大会方式と、他メーカーからの参入を受け入れるという懐の広さ(今んとこどこも手を上げてないみたいですが)にあります。が、とりあえず今回は、バクシードとミニ四駆、構造的にどこが同じでどこが違うのかあたりを中心に攻めてみたいと思います。

●入っているもの


Aパーツ(ABS)。ボディ。タグランナーが付いてる。

Bパーツ(ABS)。シャーシ。タグランナー付き。

Cパーツ(ABS)。
ローラーとフロントバンパー周り。

Dパーツ(ABS)。
F、RDユニット本体、リアローラーステー。

Eパーツ(ABS)。
スイッチ、F、RDユニットカバー、
マウントアームなど。
ていうか、このC、D、Eランナーをこのような分割にするのが微妙。まぁ、Dランナーがああいう成型のをまとめたのはわかるんですが。やっぱりダンガンEVOのユニットごとのランナー分割が理想ですよね。

Fパーツ(PE)。ホイール。

Gパーツ(TPE)。タイヤ。

モーター。チョロQみたいな箱に入ってます。
正式には「HYPER BAKUTORQUE ENGINE TYPE-B」だそうで。

ピニオンギア、 クラウンギア2個
セカンドギア、 ファイナルギア
ピニオンはダンガン。
他のはミニ四駆のまんま。

スイッチ金具、電池金具A、B
安っぽい。クラギみたい。

ワッシャー6個
ドライブシャフトスペーサー4個
ミニ四駆のまんま。

TPビス3個、段付きビス6個
これについては後ほど。

セカンドギアシャフト、ドライブシャフト2本、プロペラシャフト
セカンドギアシャフトは、シャーシの肉厚のためやや長め。
ドライブシャフトは、長さ60mmの六角でクラギやミニ四駆と互換。
プロペラシャフトは、ミニ四駆のスーパーXシャーシと同じサイズ。

ステッカー。クラギと同形式?

取説。ガンプラ1/144SEEDコレクションシリーズ風味の3DCG。
あ、あとグリス。
ミニ四駆のグリスと同じような白色の容器に、セラミックグリスみたいな色つやのグリスが入ってます。

組み立て手順

ボディの組み立て



 リアにマウントアーム用のフックをビスで固定。
 ウイングのせいで別パーツにされてるんですね。
 フロントにバンパーを取り付け、C1で挟み、2箇所をビス止め。
 安っぽく見えるバンパーもこういう構造で固定するのなら合理的といえます。
 この結合方式のおかげで、すでに公開されているスライドダンパーっぽいフロントスライドローラーも、単体であのような単純な構造のものですむんですね。

フロントドライブユニットの組み立て


 ミニ四駆と同じ要領でホイール周りをはめ込み、スイッチ金具とスイッチパーツを取り付け、カバーでふたをする。
 このカバーはミニ四駆と同様なスナップ式の固定ですけど、ミニ四駆に見られるボス接続が無いです。爪が2本のみ。



リアドライブユニットの組み立て

 電池金具をD2に取り付け、これもミニ四駆と同様にホイール周りを取り付け、セカンドギアとモーターをはめ込んだら、カバーを取り付けます。
 リアドライブユニットのカバーのハッチバック方式はフレームシャーシや電池との干渉もきちんと計算されていて、またそのロック方式から、ボディを開けばワンタッチで開閉することができます。


シャーシの組み立て


 フレームシャーシにプロペラシャフトを乗せ、FDユニットとRDユニットを取り付けます。
 このときの各ユニットの結合はボス結合のみですので、完全な固定とはいえず、ボディを取り付けることによって各ユニットを挟み込みロックすることができます。
つまり、ボディを取り付けないと走ることができないという、走行時のボディの必要性を上げる要因の一つとなってます。
 でもその割りにボス接合がかえって外れにくく、ユニット交換のときのストレスはかなりのもの。フロントはスイッチを押せばいいんですけど、リアは手がかりが無いんでタイヤを引っ張る形になってしまい、ホイールやシャフトに良くないです。

ボディの取り付け



 シャーシの先端にある軸にボディのC1パーツのデッパリを引っ掛け、そのままボディを閉じ、フックにマウントアームを引っ掛け、ロックします。
 バッテリーホルダっぽいものは無く、前後ユニット同様ボディによって電池を挟み込むカタチとなってます。  ちなみに今回ニカド電池が写ってますが、取説には「ニッケル系一次電池(オキシライド乾電池など)、充電式(ニカドなど)電池は、絶対に使用しないでください。」とあります。厳しすぎですが、守りましょう。
 ボディの左右にもフックがあるので、それぞれマウントアームで固定します。
 つまり結果的に3箇所の固定が必要となるわけで、後方1つのボディキャッチャーでよかったミニ四駆や、ワンタッチ開閉のラジ四駆、内蔵スライドパーツのダンガンに比べると、相当ストレスを感じます。
 ただ、それによる剛性UPの効果はかなりのもので、ひねっても曲げてもびくともしない頑丈さはまさに重戦車。
 でも、レギュ的には3箇所すべて固定するようなことは書いてないんで、実用的にはリア一つでいいんじゃないかと。
 

ローラーの取り付け


 ミニ四駆と同じ要領で段付きビスとワッシャーを使い、ダンパー、リアステーにローラーを取り付けます。
 リアステーのローラーは上側に小さいほう(17mm)、下側に大きいほう(19mm)を取り付けます。
 左右のリアステーをボディに取り付けます。
 リアステーのボディへの取り付けは、スナップ式のはめ込みだけで少し強度が心配ですが、ボス接合とうまく組み合わせてるのである程度は大丈夫でしょう。また必要ならば、少しの改造でビス止めも可能みたいです。

完成

 組み立てやすさは、まぁミニ四駆やクラギと同じですね。
 やっぱりバンダイのホビー事業部だけあって、ランナーの切り取りやすさがかなりいいです。ホイール・タイヤ以外は手できれいに外せますね、例のタッチゲートシステム。各パーツへのゲート自体がホイールのランナーを除いて全て1つか2つとなってるのもすごいです。

レビュー

■スーパーモノコック構造
 ミニ四駆と一番違いそうなのがこのスーパーモノコック構造。パッケージによると「シャーシとボディが一体化し、車体剛性をUP。」らしいですが、それはミニ四駆もそんなに変わらない。しいて言えばミニ四駆がフロントとリアでボディとシャーシを固定するのに対して、スーパーモノコック構造では、フロント、右脇、左脇、リアの4点で固定するところ。必要とあらば、さらに後端2箇所でビス止めも可能。ボディとシャーシの密着度が増し、特にねじる力に対してはかなりの剛性を得ているのは事実です。でもやっぱりモノコックといえばボディとシャーシの別れていないものを指すはずで、「スーパーモノコック構造」といわれるとボディに直接モーターやら電池やらを引っ付けていくのを想像してしまうのはせとのだけですか。

■ごついボディ
 とにかくボディがごついです、重いです。前後左右目いっぱいボディが張り出してるので相当デカく感じます。これは、後に述べるユニットやダンパーなどの固定に使われるためですが、ちなみにシャーシと同じABS製で、ぶっちゃけ全体の剛性の半分以上の剛性をボディがしめてる感じがします。これは肉抜きのやりがいがあります。

■ユニットマウントシステム
 ダンガンレーサーにおいてはすでに実用化されているユニット分割方式のシャーシですが、バクシードのユニットマウントシステムも機能的にはそれに近いですね。フロントの駆動系とスイッチ系統をまとめた「フロントドライブユニット(FDユニット)」。モーター、ギア、リア駆動系をまとめた「リアドライブユニット(RDユニット)」。バッテリーボックスとプロペラシャフトから成る「フレームシャーシ」。この3つをつなげてシャーシが完成します。
 しかし方式的には、それぞれのユニットを列車的に前後に接続して行ったダンガンレーサーと違い、フレームシャーシの上にFD、RD各ユニットを乗っけるって感じで、接続の方式も、ダンガンレーサーがスライドパーツによりロックしていたのに対して、バクシードでは差し込むだけで、シャーシ構成の時点ではロックしません。その代わり、ボディの内側が各ユニットを押さえ込むような形になっていて、サブロウさんの言葉を借りると「サンドイッチ方式」で、各ユニットをロックすることができます。なお各接合面にはダンガンレーサーと同様にビス穴が設けられており、確実に固定したい場合はそれを利用することもできます。このサンドイッチ方式では各ユニットの接合機構をはしょれるため、構造的にも相当ラクで剛性も容易に得ることができるんですが、板面どおしが重なる形になるんで重くなりがちです。当面の勝敗決定要素は電気的メンテ的なものを除いて、いかにうまく肉抜きするかといった感じがします。

■駆動系
 リア横向きにおかれたモーターからピニオン、セカンド、ファイナルを通してリアドライブシャフトを駆動させ、そこからクラウンギア、プロペラシャフト、を介し、クラウンギアを取り付けたフロントドライブシャフトを駆動させるという方式はミニ四駆とまったく同じもので、各ギヤ、シャフトの配置もミニ四駆そのものです。ピニオンギアはダンガン、3.5対1の超速ギア、歯数20のクラウンギア、60mm六角ドライブシャフト、スーパーXのプロペラシャフト、軸受けは外径6mm、ホイール径17.5mm、とすべてにおいてタミヤ製のそれと完全に互換します。セカンドギアのシャフトは少し長いみたいですが、超速ギアと同じく6mm丸穴ボールベアリング取り付け可能。恐るべし。

■ハッチバック方式
 ミニ四駆などのシャーシにも何度か使われたハッチバック方式ですが、バクシードではリアドライブユニットに大胆に使われています。そのロック方式はラジ四駆リアのボディとシャーシの結合に使われたものと同様で、無駄な力を使わずにワンタッチオープン。モーターとセカンドギアの交換が可能になります。このRDユニットの開閉はユニットをフレームシャーシに取り付けた状態、バッテリーを搭載した状態でも可能になっていて、かなり気持ちいいいです。
 このハッチバックは実はボディ・シャーシ間の開閉でも可能で、ボディがごっそり、前端支点で開きます。しかしその継ぎ目部分が何の返しも無くすぐに外れてしまうので、3点ロックとも相まって、こちらは逆にストレスがたまりまくります。
 なお、フロントドライブユニットには使われてませんのであしからず。

■フロントバンパー
 事実上、将来的にも、もっともミニ四駆と相反する箇所と考えられるのが、フロントバンパーの取り付けです。ミニ四駆の場合、バンパーはシャーシと一体成型で、それにオプション的バンパーを取り付けるものでした。これがバクシードでは、標準のバンパーが別パーツになっていて、それをボディ先端に下側からビス止めで固定する方式になっています。以前からミニ四駆の一体型バンパーに関しては、単体での強度が高速走行に適さず、シャーシからバンパー部分を切り離して、FRPプレートなどをそのシャーシへビス止めするような光景がありました。この点から言えばこのバンパー別離は利にかなってるといえます。ただ、ボディに固定するということで、ミニ四駆ではあくまで飾り的立場でリアハイマウントなどの例外を除いてほとんど強度を必要としなかったボディに対して、高速のマシンを確実に支えるための強度がボディが標準的に必要となってきます。この方式の採用で、ボディのデザインや肉抜きも走りに影響してくる、ちょうどダンガンレーサーのようなセッティングの特性があるといえます。

■リアローラーステー
 リアステーもフロントと同様、ボディへの固定となります。このとき左右のステーは完全に別離されており、上下にローラーを付けて、それをボディ左右のリアフェンダー部分に取り付ける型式です。ボディへの接続はビスを使わずスナップ方式で固定します。必要に迫られれば少しの改造でビス止めも可能で、やはりボディの強度が重要になりそうです。

■テールスタビライザー
 フレームシャーシには後方左右に張り出したテールスタビライザーが一体成型されています。マシンの最低地上高はこのスタビライザーの先端であり、下り坂に入るときなどにミニ四駆のリヤースキッドやリヤーブレーキのような効果が発生します。標準で一体成型する必要もどうかと思いますが、しかしなんともそのたたずまい、存在感が雄雄しいです。

■回転式スイッチ
 スイッチにはミニ四駆のスーパーFMシャーシで使われたことで知られる、回転式スイッチを採用。スイッチ自体を大きくすることで、クラギとかでよく見られた、小さい子がうまくスイッチを入れられない現象を回避しようというものだとと思います。

■WGP(ウェブグランプリ)マーク
 バクシードの各パーツには「WGP」のマークが刻印されています。ほとんどのパーツに刻印されていて、付いてないのはギア、ボディロックパーツ系、軸受けと金属部品くらいでしょうか。ホイールやスイッチにまで律儀に刻印されてます。公式大会ではこの「WGP」マークが刻印されているパーツしか使用することができず、改造の際もそれが残るように改造しなくてはいけないというのが基本らしいです。

■まとめ
 まぁ、こういった感じで出発したWGPバクシードですが、製品自体はクラギ同等それ以上のかなりしっかりしたものだと思いますよ。
 今後の発展ですが、とりあえずグレードアップパーツやシャーシの個性が出てくるまではシリーズを多少苦しくても継続してほしいわけで。こういったものが発売から数ヶ月でバンと流行るものではないですし。
 問題は、ミニ四駆によってどうすれば速くなるかのノウハウが出尽くしてるとこですね。最近の上級者大会でのマシンのセッティングはほぼおなじであり、まぁF1とか見ててもみんな同じに見えるからしょうがないのかなぉとも思うんですが、できればビーダマンやベイブレード、ダンガンレーサーのような最強の形が見えてこないような方向へと発展させていってもらいたいです。
 それに他メーカーもできるだけ参入してもらいたいですね。自社の利益だけを考えるのではなく、玩具界全体の発展と、何より子ども達の夢を育てるという点で。これはおもちゃ屋さんにもいえることで、一つでも多くのおもちゃ屋さんがコースを設置することがホビーを盛り上げることに不可欠なわけですから。

2004/11/14 せとの


各ドライブユニットにはギア部分に図のような穴が開いていて、プロペラシャフトがスポっとはまる。


やっぱり金具が安っぽい。


エアスクープ&ダクト
リアドライブユニットにも穴は開いているものの、やはり間に板がある分、効果はミニ四駆のそれのほうが高そう。


スイッチ。デカい。


ビスの比較。左からタミヤ製ビス、バクシード付属、EXビーダマンの細いほう。
プラスチックのネジ穴にねじ切りしながらとめるのならやはりこういう形状がいいのでしょう。
にしても素材が弱過ぎです。もっと硬くしてください。


段付きビスの比較。パッと見一緒だけど、左のバクシードのものが若干頭が小さい。
こちらはそこそこ硬いでしょうか。


バンパー裏面。いわゆるハニカム構造?


タイヤにもホイールにも、律儀にWGPの刻印。


リアステーはボディに取り付けるので、ボディによって取り付け位置が微妙に違うのではと思ったんですが、まったく同じでした。今後は違いも出てくるんでしょうか?


噂のテールスタビライザー。
なぜ標準装備?なぜ脱着不可?


初出:2004/11/14
再掲載:2016/02/02
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