027 ジャスティスイフリート


\903 06/07/? クラッシュビーダマン 67口径 パワータイプ 属性:炎
CRASH B-DAMAN JUSTICE IFRIT cal.67 POWER TYPE
コア:イフリート2 特性:アストラルドライブ パワー性:★★★★☆
5本爪のホールドパーツに付いたラバーにより強力にビーダマに縦回転を与えるパワー系ビーダマンだ!
アーマー:パワーアシストアーマー パワー補正:★☆
シンクロシステム対応ビーダマンに装着することで、発射威力をUPすることのできるアーマーだ!
バレル:67サスペンション コントロール性:★ パワー性:★★★☆)
スプリングサスペンションによりホールドパーツを締め付け威力をUPするバレル(銃身)パーツだ!
グリップ:シンクログリップ(ファイヤー) ギヤ:パワー
小型のサブトリガーを装備したSWS対応グリップ。グリップエンドは握りやすいハンドガンスタイルだ!

解説

「アストラルドライブ」と名付けられたそのホールドパーツは、一部の人がその名から期待できるように5本のツメを持っている。 アストラル形式の本来の目的は、デルタ形式のホールドパーツにさらに爪を追加することで締め付け力を倍増させ、発射威力を挙げることにある。 今回のアストラルドライブホールドでは、左右の下側の爪はビームのやや先端で分岐しており、かろうじて5本爪の様式を保っているといえるが、元々のビームが極太であるため発射威力の向上もあると考えられる。 また、左右の爪が上下に分岐したあとの上側の爪のエッジには、それぞれ2本のスリットが彫られていて、接触面積をコントロールしている。 爪の分割にやや難があるが、正面から見たときのスリットの配置などは、いかにもアストラルだと、オールドファンを喜ばせことは間違いない。

イフリートコアの肩アーマーは、下方向へ延長されており、その内側から伸びたリブ(バレルリブのそれにあやかって、ショルダーリブと呼称することにする)により、ボディ横からのぞくホールドパーツのビーム部分を拘束する形状になっている。 ショルダーリブ単体でも締め付け効果は少なからずあるように感じられるが、その本来の目的は後述する「パワーアシストアーマー」のサポートにある。 ショルダーリブがホールドパーツを締め付ける位置はビームの中間から支点にあたる部分であり、これはクロウの先端を締め付けるバレルリブと違い、ビームの弾性力を活かしながら締め付け力を強化することができる。 このことは、バレルで発射パワーを強化する場合と異なり、極端に発射抵抗が大きくなる問題を避けることができることにつながり、締め付け部の変位が小さいことからパワーアシストアーマーのような材料的拘束に適しているといえる。 ショルダーリブの存在意義は、もちろんパワーアシストアーマーのリベット延長を極力抑えることと、ホールドパーツが露出するやや小さい穴へのアダプター的な要因もあるが、新旧シリーズの互換に関しても大変意義のあるものとなっている。 それは、パワーアシストアーマーの登場により、パワーアシストアーマーとの併用に対応させるため、新シリーズのウエポンにはパワーアシストアーマーと同様の機能が盛り込まれていることが起因する。 その機能により、パワーアシストアーマーと新新シリーズウエポンの併用は前述のように問題が無いが、例えば、パワーアシストアーマーと旧シリーズウエポンの併用、新シリーズウエポンと旧シリーズウエポンの併用、新シリーズウエポン単体での使用、これらは片側のクロウの締め付け力のみを増大させ、左右の締め付けバランスを崩してしまう。 しかし、ショルダーリブの介在がこれらの問題を解決する。つまり、バランスが悪くなってしまえば左右のショルダーリブ付ショルダーパーツを取っ払ってしまえばいいのだ。 そうすれば左右とも締め付け力がニュートラルな状態になりバランスが保たれるのである。

パワーアシストアーマーは、文字どおりコアの発射威力をUPさせるパーツで、左右アームのウエポンジョイントに取り付ける。 その接続部は、従来のウエポンの接続リベットと同形式だが、先端からホールドパーツに向かって軸が伸びており、これが肩アーマーのショルダーリブを締め付けることによって、ホールドパーツの締め付け力をUPさせ発射威力を上げることができる。 クラッシュビーダマンでのパワーアシストはバレルによるものが基本であるが、今回はじめて、その機能が(ショルダーパーツも含めた)アームに追加されたことになる。 とはいえ、元来ホールドパーツへのパワーアシストで複数の方法を併用する傾向はよく見られた。これはより強力な発射威力が求められていると同時に、ホールドパーツの強化要素が単一ではないことを示している。 FUタイプのホールドパーツの欠点の一つに、支点自体が外に広がることによりビームの弾性力を活かしきれないという問題がある。 ボディで支点付近を拘束することで一応回避できるが、その場合ボディに局所的な力が加わりは存しやすくなる危険性がある。 しかし今回のように、支点付近をボディとは別のパーツによって拘束してやることで、そのパーツの弾性やパーツどうしの微小なズレによって変位を吸収し、機体への負担を抑えることができる。 また、ビーダマンが人型として発展してきた歴史的背景から、ホールドパーツの側面に位置するアームはパワーアシストという機能をもっとも添加しやすい部位ということができ、実際多くのパワーアシスト機構はアームに装備されてきた。 このジャスティスイフリートのパワーアシストアーマーに関しては、機能のみならず、そういった歴史を物語るような意匠をしており、これもまたオールドファンを大変喜ばせるものである。

サスペンションバレルは、スプリングサスペンションを利用してホールドパーツの締め付けをアシストするバレルだ。 締め撃ちサポートの究極はスプリングサスペンション、という図式が以前からできあがってしまっており、クラッシュビーダマンにシリーズが以降してからもこのバレルリブを何とかしてサスペンションで動かしたいという気持ちはみな持っていたと思われる。 しかしながら、バレルリブのある部分はビーダマンコアとバレルとが接合する文字通り要の部分でもある。 この部分にサスペンション機構を盛り込むために、いままでのサスペンションがリンク機構を好んで使用してきたのに対して、今回はクロウの先端とサスの接触部分がカム機構として働くことでスプリングが縮む距離を稼ぐ画期的な方式が採用された。 この方式は摩擦によるロスは避けられないものの、それを補って余りある「小型化」を可能にしている。
サスペンションの組立は、まずスプリング側のシャフトをバレルに挿し込み、スプリングが縮まった状態でホールドパーツ側のロッドを差し込んでシャフトパーツにはめこみ固定する。 これに関しての説明は取説を見ていただいたほうがわかりやすいだろう。 サスペンションのシャフト部分はかなり細く不安を覚えずにはいられないが、もともとこの部分には圧縮力しか働かず、またスプリング強度も弱いので、細さ自体は大して影響は無い。 問題は各パーツが多少不安定で、稀に正位置からズレたり外れたりする。気が付けばすぐに直せるのだが、気づかず発射を続けるとこの細いロッドが折れてしまう可能性もある。注意してほしい。 なお、先ほどスプリングの強度が弱いと言ったが、ほんとに弱いのだ。のれんに腕押しヌカに釘だ。昔のトリガーのスプリングを思い出してくれれば、ちょうどその程度かそれ以下なのである。この弱さは、おそらく取り付け時とロッドの細さを考慮したためであろう。 このギミック自体は発射威力を向上させる可能性は十分あると思われるが、このスプリングの弱さのために大した発射威力の向上を得られてはいない感じである。 これは先にも述べた「締め撃ちサポートの究極はスプリングサスペンションという図式」が究極化したもので、スプリングサスペンションは発射威力を求めるものというより「強発射の象徴」として取り付けられているといっても過言ではないかもしれない。 また、このギミックを成立させるために、バレルとコアビーダマンをつなぐストッパーリングの干渉部分が見事にカットされている。 このストッパーリングのカットは、このストッパーリングによるジョイントの可能性を大きく広げるもので、グリップのマガジンを固定するためのストッパーリングでも採用されていて、サブトリガーとの干渉を見事に回避している。

トリガーはシンクロシステム対応の新設計で、イフリートにはパワータイプギヤが採用されている。 構造自体はペガサスのパワーグリップとほぼ同じだが、シンクロシステムでウエポンのトリガーを連動させるための部分、および発射抵抗の軽減を狙ってのプッシュインタイプのサブトリガーが、アウトトリガーに取り付けられている。 これらのパーツがアウトトリガーと一体整形でないのは整形上の都合もあるだろうが、むしろこれらのパーツを別の形状のものもしくは別の機能のものと互換させることで、新型設計時のコストを軽減させる狙いがあると考えられる。
このサブトリガーの考え方は、元々親指で押すように進化してきたビーダマンを急に人差し指で撃てと強要されたクラッシュビーダマンシリーズにおいて、かねてより需要があった機構である。 それにもともとのプルタイプトリガーと併用させることは、純粋に入力が倍になるのみならず、対向する力で"挟む"という力の出し方は無駄な力が少なくてすむ理想的な入力方法だと私は考えている。 ただ、ややそれぞれの位置関係が悪く、それほど挟む力を利用できていないのが事実だ。 とはいえ、サブトリガーの効果はやはり絶大である。アウトトリガーとイントリガーが直結されているわけなのだから、その部分において余分なギミックもいらなければパワーロスも無い。 むしろプッシュタイプのイントリガーに慣れているオールドユーザーにとってプルタイプのトリガーこそが不要に感じられるのではないだろうか。いや、新規ユーザーでも同じ考えにいたるかもしれない。 もしかすると大会等で本来のガンタイプのプルイントリガーを取っ払い、サブであるプッシュイントリガーのみの機体でバトルをする人も現れるかもしれない。 ところで、これだけ有用性があるサブトリガーだが、実際に改造で再現する人は私の知るところで約1名を除いてあまり見られなかった。 それは旧グリップにおけるマガジンを固定するためのストッパーリングの配置にあると言えよう。 旧グリップではストッパーリングの取り付け部がサブトリガーを配置したい位置ともろに干渉してしまう。リングを基部ごと取っ払ってしまえばよいことだが、それではマガジンを固定できなくなってしまうのだ。 このジレンマを見事に解消したのが、この新形式のストッパーリングである。サスペンションバレルのストッパーリングでも見られたが、このように間欠式のリングにしてやることで、見事に干渉しなくなる。私はとてもすばらしい発想だと思える。
また、このシンクログリップには各所に工夫が加わり、多少組み立てやすく、確実に動作するように改良されている。 まずアウトトリガーだが、従来はトリガーボディにセットされたギヤにアウトトリガーをその後方がかみ合うようにいれ、待機位置までスライドさせていた。 しかし、シンクログリップのでは、最初から待機状態の位置でアウトトリガーを取り付けるようになっている。すなわち行程が一つ短縮されたわけだ。 さらに、ギヤに関しては歯数が12枚のもの2つと10枚のものが使われている。これに対して、旧ノーマルグリップは8、10、16枚、旧パワーグリップでも10枚が3つである。 これは、まず第一にギヤの歯数が少なければ少ないほど、その歯は折れやすくなってしまうのだ。また、変速比が整数倍でないギヤの組み合わせでは、そのギヤの取り付ける向きによってインおよびアウトトリガーの変異が変化してしまうことがある。 さらにシンクロウエポンシステムシリーズでは、前情報よりこのトリガーボディパーツに関しても金型を使いまわす予定であるように思われる。そのためこのトリガーボディのみで数タイプのギヤ比に対応しなければならない。 今回のシンクログリップでは、それらを考慮しつつ、適度なギヤ比を得られるギヤの組み合わせを考慮したと考えられる。
ただ、このジャスティスイフリートの問題点の中でも特に大きなものとして、トリガースプリングが異常に強力であることがあげられる。 どの程度強力なのかといえば、CPのキャノンサスウイングのスプリング並みかそれ以上と言えば分かってもらえる人もいるだろうか。 確かに、旧パワーグリップからこっち、トリガーに押バネを採用するときは今までの常識から考えるとかなりゴツイと思えるようなものが多かった。 しかし今回のそれはそれらの比ではない。確かに発射に問題が生じるほどの強さではないし、パワータイプのスプリングは強力なほうがいいというのはOS時代からの定説で、実際その方がなんとなくいい感じに思えることも少なくない。 だが、これは如何せん重過ぎる。ビーダマンの歴史上、ビーダマを発射しない状態で最も重いトリガーであることは間違いない。

以上のように、このジャスティスイフリートには新しい要素が多く盛り込まれている。 これらの新要素はクラッシュビーダマンの「3ブロックギヤスタイル」「ガンタイププルイントリガーの標準化」「ストッパーリングの多用」「パワーアシスト要素を持ったバレルの標準化」などの今までの競技ビーダマンとは違った方向性がもたらしたものと言えよう。 しかしこのジャスティスイフリートの各ギミックや意匠が物語っているようにその方向性はまったく違ったものになるのではなく、理想的に過去との融合を果たしつつ新たな可能性を生み出していると言えよう。 その上、感心するのはこれらの進化をクラッシュビーダマンの初期シリーズと同じフレーム、同じコアで行っている点である。 バトルビーダマンゼロシステムのときにも感じたが、一つのフレームの持っているポテンシャルをここまで引き出すのにはとても感心させられる。 これからもこの調子で発展させていってもらいたい。


発射威力測定。
※速度計測君(+9cm)により6回計測した値の平均。単位はkm/h
平均値最大値最小値
すべて装着 10.8411.2710.33
サスペンションバレルのみ装着 10.8911.3010.53
パワーアシストアーマーのみ装着 10.6111.209.99
コアビーダマンのみ 10.5210.849.98
比較のための素組アイアンオーディン 8.398.897.94
せっかくだから素組のマグナムイフリート 11.3111.7011.10
あれ前より弱いじゃん。グリップのせいかな?
じゃ全装着のジャスティスイフリートに旧ノーマルグリップ
14.4915.6413.09
考察
ジャスティスイフリートの発射威力自体はまぁパワータイプとしての最低は満たしていると思われる。
サスペンションバレルやパワーアシストアーマー自体はそんなに威力アップ感じられない。
旧ノーマルグリップに換えてみると、かなり威力アップ。でもこの発射抵抗だと子どもなら苦労するわ。
パワーギヤ標準装備納得。
結果
素組では上の下程度の威力。
ホールドパーツの威力ポテンシャルはかなりのもの。
パワーギヤによってかなり(約30%)威力が抑えられている。
サスペンションバレルやパワーアシストアーマーの効果は微量。

アップ 06/06/23
解説文・肩パーツについて少し文章追加、発射威力測定追加 06/06/28








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