競技玩具研究所 コラム



■ビーダマン機構・スマッシュトリガー基本編



 スマッシュトリガーは、レバー状のイントリガーを下向きに押すことで得られた回転運動を、 アウトトリガーの前向きの直線運動に変換するトリガー機構です。 上から体重をかけるように入力できるため、力の弱い人でも安定した強発射ができ、また、 一定の入力に対して出力が徐々に減速・増力するため、弱い力でも効率よくビーダマを発射することができます。 さらに、アウトトリガーの運動方向がベーシックトリガーと同様なため、ホールドパーツの自由度が高く、 トリガーユニットの独立性が高いのも特長です。 ここでは、現在までに登場した3タイプのスマッシュトリガーの機構とその進化の経緯(予想)を解説します。 なお、3タイプの機構的な違いを明確にするため、解説の図はモデル化して、トリガーを待機位置に戻すスプリングは省略しています。

 下向き入力方式自体は、先に「バーティカルショットシステム」で実現されていますが、 過大なロスに伴う発射抵抗の大きさと機体への負担、ホールドパーツ自由度の低さなど多くの問題がありました。 この問題を解決するためかどうかは明確にされていませんが、 まったく別の方法で下向き入力理論を実現した、 図1の方式のスマッシュトリガーが登場しました。 便宜上Aタイプスマッシュトリガーと呼称します。


図1.スマッシュトリガーAタイプ

 Aタイプスマッシュトリガーには、トリガーボディに回転軸で固定されたレバー状のイントリガーと、 トリガーボディ上を前後にスライドするアウトトリガーが設けられています。 アウトトリガーにはリンク1の一端が、リンク1のもう一端はリンク2が、 リンク2のもう一端はトリガーボディにそれぞれ回転軸で固定されています。 イントリガーとリンク2はリンク3で連結されていて、イントリガーを押し下げると、 リンク3の作用でリンク2がトリガーボディと固定された軸で回転し、その運動がリンク1を通じて、 アウトトリガーを前方に押し出します。

 先に述べた通り、この方式により、一定の入力に対して出力が徐々に減速・増力する、 とても効率のよいパワートリガーのような効果を得られ、発射抵抗の強い機体でも楽に発射が可能となります。 さらに上からの入力というバーティカルショットシステムとの共通点から、 重力を利用してコブシをトリガーを叩き付けるハンマーショットを使うことで、 通常のトリガーより高い発射威力で、より高速な連射が可能となりました。

 しかし、当時のスマッシュトリガーはハンマーショットの使用を想定されておらず、 構造の複雑さも相まって、破損の報告が多くありました。 この問題を解決し、さらにコストを軽減するためにも、 よりシンプルな構造を持った図2のような方式、Bタイプが登場しました。


図2.スマッシュトリガーBタイプ

 Bタイプスマッシュトリガーでは、 Aタイプにおいてイントリガーの運動をリンク2に伝えていたリンク3が省略され、 イントリガーの突起が、直接リンク2に接触し、運動を伝えます。 そのため、イントリガーの突起とリンク2は滑りを起こし、多少の摩擦ロスが発生しますが、 よりシンプルで頑強なシステムとなりました。

 そして、スマッシュトリガーは、さらにシンプルさを追求したCタイプに進化します。


図3.スマッシュトリガーCタイプ

 Cタイプスマッシュトリガーでは、イントリガーに設けられたボスが、 アウトトリガーのスリットと滑り・回転を同時に行うため、 イントリガー、アウトトリガー、トリガーボディの3要素のみで機構が成立するまでシンプル化されました。 さらにA・Bタイプで見られた、リンク1がアウトトリガーを斜めに押すときの下方向の分力が無くなり、 より効率的よくアウトトリガーを動かすことができます。 徐々に減速・増力する特長はほぼ無くなりましたが、イントリガーのてこ構造により、 パワートリガーとしての効果は顕在しています。

 以上のように、スマッシュトリガーは、下向き入力とパワートリガー効果によって誰にでも 強ショットを撃ちやすくするコンセプトを維持しつつ、 ハンマーショットに耐える強度を得るためと、コストに伴うパーツ点数の制限から、 よりシンプルな構造になる方向性で進化してきました。 あまりに効果的なパーツなために、ほとんどのビーダーがスマッシュトリガーを使う傾向が見られたためか、 さもなくば、威力が上がりすぎる事を良しとしないシリーズ展開のためか、コンセプトの違いもあるかもしれませんが、 バトルビーダマンシリーズやクラッシュビーダマンシリーズでは上記3タイプ以外のスマッシュトリガーが登場する事はありませんでした。 しかし、リンク機構は機械の世界においてかなり古くから研究され、数多くのバリエーションが生み出されています。 これらをさらに利用し、かつ様々なコンセプトで発展させれば、スマッシュトリガーの可能性は無限大と言えるでしょう。
2009/11/15

競技玩具研究所

inserted by FC2 system