競技玩具研究所 スーパービーダマンコラム



ガーディアンフェニックスの親は誰?

2007/03/03

バーストショットとバーティカルショット

2006/12/05

片手撃ちと二刀流

2006/11/18

斜め締め付けのジレンマ

2006/11/13



ガーディアンフェニックスの親は誰?

 07/03/03


未だに根強い人気を誇る我らがバイブル「爆球連発!スーパービーダマン」のコミック。 今回はそこに登場する四代目のフェニックス、ガーディアンフェニックスについて議論したいと思います。

このGフェニックスは、コミックスに登場するフェニックスシリーズ、F、B、C、G、Vの5体のうち、 他の4体とは全く異なった生い立ちがあります。 G以外の4体はガンマ及びDr.タマノが中心となってタマゴ専用機として開発していますが(※1)、 Gフェニックスは、タマノの師匠であるDr.矢部が、タマノから送られたデータを参考に開発し、 ビーダマンを使えなくなった高原光から、Cフェニックスを失ったタマゴに、なりゆきで譲渡されたものなのです。 このときのデータとは、一般的にはBフェニックスだったとされています。

しかしここで大きな矛盾が生まれます。 実際のGフェニックスの構造は、BフェニックスよりもむしろFフェニックスに酷似しているのです。 それは、Gフェニックスの大きな特徴であるガーディアンウイングが、 Fフェニックスのパワーウイング2と同じ機能だから、と言うわけではなく、 むしろGフェニックスとFフェニックスの共通点が意匠とデルタシステム以外ではサークルトリガー程度しかないということです。 つまりFUローラーデルタでキャノンサスのBフェニックスからよりも、 同じFDカウンターレバー付き(※2)のデルタシステムを持ったFフェニックスから直接発展したと考えたほうが、 いたって自然だということです。

そしてこの考えを肯定するかのように、 本編中で「GフェニックスはBフェニックスのデータから作られた」とは誰一人発言していないのです。 本編中でGフェニックスの生い立ちに言及した発言は、 円がGフェニックスを指して言った「その機体はもともとフェニックス」と、 矢部がタマノに言った「Gモデル(※3)のうちの1体はBフェニックスのデータを元に作った」の2つのみなのです。

ではここで、「GフェニックスはFフェニックスのデータを元に作られた」と仮定してみます。 円の発言には問題なく当てはまりますが、矢部の発言が成り立つためには、 Gモデル残り2体のうち、どちらかがBフェニックスから作られたということになります。 だとすればそれはもちろんクールヘリオスでしょう。 え?爪が3本以外ぜんぜん特徴が一致しないって? いえいえ、ちゃんと進化の矢印が成立しますよ。PI→EXという。

つまり、矢部の発言にある「Bフェニックス」とは、「デルタシステムやキャノンサスなどの要素の集合」ではなく、 「PIシステムのプロトタイプ」のことなのです。 「PIシステムはJBAで長年研究している」とタマノは言っていましたが、これはJBA第6研究所のことだと考えます。 つまりPIシステムとはタマノが長年かけて完成させたタマノを代表する成果と呼べるわけです。 そしてそのPIのデータをBフェニックスと言う媒介で受け取った矢部は、 そこからEXシステムのプロトタイプとしてクールヘリオスを完成させたわけです。

タマノのPI対して、矢部はEユニットを長年かけて研究していました。 その先祖とも言えるのがGモデルのひとつ、エターナルエクリプスなのです。 ほらEエクリプスとEユニットは構造上の共通点が多いでしょ(※4)。 おそらくこのEエクリプスがGモデルの中で最も古いものだと考えられます。 そしてFフェニックスのデータを入手してGフェニックスを作り(※5)、 その後BフェニックスのPIとしてのデータからEXのプロトタイプであるCヘリオスを作ったわけです。 ほら持ち主の年齢と照らし合わせてもぴったりです。

ではなぜ、矢部はタマノに対して「そしてGモデルのうち、 もうひとつはおたくのFフェニックスのデータを元に作った」と言わなかったのか。 それは、Fフェニックスの開発に関してタマノは一切手出しておらず、ガンマが一人で設計したからです。 「先生のような芸術品は作れない」と弱気になるタマノを励ますのに、 本人が関わっていないものを引っ張り出すことは無意味だったわけです。 そもそも、小学生のくせに自分と匹敵するほどの才能を見せるガンマ君に対し、タマノは相当嫉妬していたはずです。 でなければおかしいです。大人として。 そんな弟子の心情を察した師匠はFフェニックスとGフェニックスの関係について言及せず、あえて遠回りな言い回しをしたのかもしれません。

え?Bフェニックスだってガンマが最初設計したじゃないかって? いえいえ、ガンマが一人で作った最初の図面をよく見てください。 バトルフェニックスの出来上がりの構造とはだいぶ違った印象を受けませんか? そう、つまりガンマ君はコンセプトをタマノに示しただけで、 実際は、図面としてほぼ完成していたプロト01との互換を考慮してタマノがガンマの図面に相当手を加えているんです。

さぁ、なんだかもうFP→GP説が正しいとしか思えないような証拠ばかりですね。 まぁ、作品をどう読むかは個人の自由。ただ、 本編だけではGフェニックスの親はBフェニックスに限定されているわけではない、他の可能性もある。 と言うことが分かっていただければ幸いです。


FP→GP説によるスパビー進化の図


※1
Fフェニックスは愛機あかボンを失ったタマゴのためにガンマが設計。
BフェニックスはFフェニックスの強度的限界を感じたガンマがタマノと協力して設計。
CフェニックスはパワーアップのためタマノがBフェニックスをEXシステムに改造。
Vフェニックスはタマゴ専用Eユニットビーダマンとしてガンマとタマノが協力して開発。

※2
こちらを参照。

※3
クールヘリオス、ガーディアンフェニックス、エターナルエクリプスの3体。

※4
そう思うと、Eユニットの「E」ってエターナルエクリプスの「E」な気がしません?

※5
時期的にビーダー選手権地方大会終了前後でしょうね。
もともとスパビーのGP以外でFDタイプのホルパを採用しているのはFP、WWくらいしかなく、どちらもガンマの作品。 Eエクリプスやミラージュ、その他第一研究所のビーダマンもU、C、Oがほとんどで、 矢部にとってDはとても画期的で、試してみたくてたまらないものだったんでしょうねきっと。



バーストショットとバーティカルショット

2006/12/05


バーストショットの問題点は、そのストロークの長さである。 長いストロークは操作性を損ねるだけでなく、機体全長を後方へ大きく伸ばし、 シューティングエリア内での機動性を制限してしまう。

この問題に直面していた開発者は、偶然にある現象に出会う。 PIビーダマンのストレートマガジンにビーダマをいっぱいに装填し、 そこにさらにビーダマを強引に押し込むと、 発射口からビーダマが発射されたのだ。

その原理はノーチラスポセイドンのトライデントローターと同じで、 トリガーの下向きの力がビーダマとの接触面の曲面効果により ビーダマの前進する力に変えられる。 この効果が、特殊なトリガーを使わずとも、 次のビーダマがトリガーとなって力の方向を変換してくれることが証明されたことになる。

彼は持ち前の好奇心から、 今度はビーダマが数発入ったストレートマガジンの装填口に棒を突っ込んだ。 そのときビーダマンの発射口からは、バーストショットが見事に炸裂した。 この発射原理を垂直なマガジンで可能にしものがバーティカルショットシステムである。

力の変換が完全な90度となったため、 ビーダマ待機位置の床面を特殊な形状にする必要があったが、 バーニングアトラスはこの機構を マガジン・トリガー・フットの一連をPIのトリガーモジュールとして取り出し、 ビーダマン本体は専用のCUタイプホールドパーツとすることで、 無駄のないバーティカルショットシステムを完成させた。 もちろん他のPIビーダマンにこのモジュールを取り付ければ、 最後に発射出来ないビーダマが残るものの、 通常のホールドパーツで運用することは可能である。

こうしてバーティカルショットシステムは、 トリガーを上から手全体で押すという入力方式により、 省スペース、かつ、安定性の高い多点射を放つことが可能となったのだ。

また、バーティカルショットシステムには、これ以外の非常に有効な効果もあった。 それは重力を利用し、加速させたユーザーの拳をトリガーに叩きつける「ハンマーショット」である。 下向き入力という特徴をフルに活かしたこのショットスタイルは、 発射臨界時のビーダマの速度を驚異的に高め、発射速度の著しい向上をもたらした。


片手撃ちと二刀流

2006/11/18


片手撃ちを分類する要素の一つに、ビーダマン本体と人差し指の位置関係がある。 人差し指がビーダマン本体を挟んで中指と反対側に位置し、 それら2本の指でビーダマンを挟み込んで保持する持ち方と、 その状態から人差し指を中指と同じ側に移動し、 何らかのグリップ的なものを握り保持する持ち方の2系統に大別できる。 前者をガンマスタイル、後者をビリースタイルと呼ぶ。 それぞれに長所短所があるが、 基本的にビリースタイルの方が安定感に欠け、また機体への負担が大きい。

しかし、ライトイーグル及びレフトレオンは あえてこのビリースタイルの片手撃ち専用に設計されている。 (正確に言えば、この2体からビリースタイルの概念が生まれた。) その理由は、分離した状態での二刀流から、 合体してパワーショットの両手撃ちに変化するという、 ブラストグリフォン独特のコンセプトに関係している。

両手撃ちでは、両手の人差し指を両肩にかけ、 残りの指で拳を作るように保持するのが基本である。 このとき、その拳で握れるようなグリップを両肩に設けば、 両手撃ちでの安定はもちろん、この状態からビーダマンが左右に分離しても、 同じ姿勢での二刀流の運用が可能になる。

また、二刀流を運用する際、両腕を前方に伸ばし、 2体のビーダマンを並べる状況が頻繁に起こるが、 これが従来のガンマスタイル片手撃ちだと、 その両腕をやや内向きに伸ばさなければならず、 少し窮屈になってしまう。 それに対して今回のビリースタイルでは、 ビーダマン本体が腕より内側にあるために、 両腕をほぼ平行に構えることができ、 非常に合理的であると言える。

さらに、肩のグリップのみでビーダマンを保持できるので、 ガンマスタイルの代表であるワイバーン系の後方に大きく伸びたトリガーと違い、 ノーマルのままのトリガーで運用できる。 このことは合体機として実質ビーダマン2体セット商品という形での 価格高騰を防ぐ事に貢献していると同時に、 自陣に2体のビーダマンを置く事による手狭さをも解消している。

以上のように、 ビリースタイルの片手撃ちは 二刀流合体機というコンセプトのブラストグリフォンに 非常に適したスタイルである。 またその省スペース・低コスト性の高さから、 先に述べた欠点を持ちつつも、二刀流専用ではなく、 単純な片手撃ちの手法の一つとして広く一般化するようになる。


斜め締め付けのジレンマ

2006/11/13


PI-EXシステムでフェニックスを踏襲する機体を開発するうえでまず優先されたことは、 キャノンサスを単独のパーツとし、他のEXビーダマンにも対応させることである。 なぜならば、各パーツの完全な互換性こそがEXシステムの目的であり、 本来同じ目的だったはずのPIシステムでの各機体の構造の特化という反省があるからだ。

デルタシステム系ホールドパーツでは左右の爪が斜めに付いているので、 キャノンサスなどの締め撃ちパーツを肩に斜めに装備することのできる専用のアームが設計された。 またそれとは別に、コアの真横、前腕部に締め撃ちパーツ用ジョイントを設けた標準アームも設計され、 メガキャノンウイングは、これら2種のアームどちらにも対応するように設計された。 しかし、実際開発されたEXパーツとしての締め撃ちパーツは、 これとクリムゾンギカントに付属したクラッシャーボルトの2種のみで、 さらにクラッシャーボルトに関しては標準系アームにしか装着できず、 完全な互換性を持つのは、メガキャノンウイングのみとなった。

この独特の斜め締め付けによって、 コンバットフェニックスのシリーズ内での孤立性は高くなってしまう。 しかし、ラウンドクロウズ、ギガバーストシステムなど、 締め撃ちパーツに対応しない特化コアも多く排出され、 最終的には、シリーズを通してのフェニックスの孤立性自体は大きな問題ではなくなった。 むしろ、この互換性におけるリスクを負ってでも、 斜め締め付けを貫いたコンバットフェニックスは、 パーフェクトモードでの高い完成度を誇り、 誰もが認める名機となることができた。 このコンバットフェニックスの高い完成度が、 EXシリーズが競技ビーダマンの最高峰と呼ばれる要因の一つであると言える。
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